カズデンタルブログ

8020運動の達成率は51%まで来ました|でも、これは「80歳の話」ではありません

一デンタルパーク院長の武内です。

8月も終わりが見えてきましたね。もう4日で9月になりますね。

さて、今日は「8020運動」の話をします。ポスターなどで見かけたことがある方も多いと思います。

若い方の認知はあまりなく、むしろ「8020って、お年寄りの目標でしょう?」と感じています。

もし遠い未来の目標と考えてしまうと、他人事ですが、あなたにも非常に関わってくる大切な内容です。

食卓で元気に食事を楽しむ高齢の夫婦の様子(8020運動を解説する川越の一デンタルパークのイメージ)

まず、8020運動とは何か

厚生労働省のe-ヘルスネットを引用すると、8020運動は「80歳になっても自分の歯を20本以上保とう」という運動です。

平成元年(1989年)に、厚生省(当時)と日本歯科医師会が提唱して始まりました。

もう35年以上続いていることになりますね。

それ以前は「一生自分の歯で食べよう」という標語が使われていたそうです。
8020は、それを数値目標にしたものだと説明されています。

「80歳で20本」という具体的な目標があれば、今の自分が何本あるかを数えられる。
ここが大きな違いだと私は思っています。

なぜ「20本」を残そうという目標なのか

ここ、意外と知られていないところです。

大人の歯は、親知らずを除くと28本あります。
そのうち20本、という設定にはちゃんと根拠があるんですね。

だいたい20本以上の歯が残っていれば、硬い食品でもほぼ満足に噛めることが科学的に明らかになっている、と。

つまり「20」は、自分の歯で食べられるために必要な歯の数なんです。

逆に言えば、20本を下回ると「食べられないもの」が出てくるということでもあります。
以前、よく噛むと、なぜ太りにくいのかという記事でも触れましたが、噛めなくなると自然と硬いものを避けるようになり、栄養バランスに影響が出てきます。

「歯の本数」は、そのまま「食べられるものの幅」なんですね。

達成率は、10人に1人未満から51%へ

数字を見ていきましょう。

8020運動が始まった当初、「8020」を達成している後期高齢者(75歳以上)は、10人に1人にも満たない状況でした。

それが、最新の全国調査(平成28年歯科疾患実態調査)では——

75〜84歳の51%が達成

半数を超えたんです。今後も増加が予測されている、とされています。

35年でここまで変わったというのは、正直、すごいことだと思います。フッ化物の普及、定期検診の定着、歯周病治療の進歩。
いろいろな積み重ねの結果ですね。

ただし、目標の意味合いは変わってきています

ここが今日いちばんお伝えしたいところかもしれません。

8020が提唱された平成元年当時、日本人の平均寿命は男性75.9歳・女性81.8歳でした。
男女合わせた平均寿命が、ちょうど「80」だったんです

ところが現在(平成30年簡易生命表)は、男性81.3歳・女性87.3歳。80を大きく上回っています。

そのためe-ヘルスネットには、8020運動は「80」をゴールとする捉え方から、より健康な高齢期を過ごすための運動という意味合いに変化しつつあると書かれています。

80歳がゴールではなくなった。つまり、80歳で20本残っていたとして、そこから先がまだあるということなんですね。
ここは、私も診療をしていて強く感じるところです。

そして、これは子どものうちから始まっています

「8020は高齢者の話ではない」と申し上げた理由が、ここです。

e-ヘルスネットには、はっきりこう書かれています。

「8020運動」は「80歳」という標的年齢が設定されているため、高齢者の歯科保健対策と受け取られやすい面もありますが、「8020」を達成するには生涯にわたる歯科保健対策が必要です。つまり小児期からの対策を充実させることも立派な「8020運動」なのです。

そのとおりだと思います。

80歳で20本残すために必要なのは、歯の喪失をいかに防ぐか
そして歯を失う二大原因は、むし歯と歯周病です。この2つを防ぐ取り組みは、80歳から始めても間に合いません。

同資料で挙げられている有効な対策を整理すると、こうなります。

むし歯の予防

  • 最も効果的なのはフッ化物を用いる方法(フッ化物洗口・フッ化物歯面塗布・フッ化物配合歯磨剤)
  • 砂糖の適正摂取(代用糖の利用)
  • シーラント

歯周病の予防

  • 歯ブラシによる適切な清掃に加え、デンタルフロスや歯間ブラシによる歯間部清掃
  • 専門家による口腔清掃(自分では取り除けない歯垢や歯石の除去)
  • 禁煙

見ていただくと分かるとおり、どれも今日から始められることばかりです。そして、若い方ほど効果が積み上がります。

日ごろの予防については予防歯科のページ、歯を失う原因については歯を失う原因、1位は虫歯ではありませんもあわせてご覧ください。

一デンタルパークではどのようにしているか?

当院では、定期検診のときに今の歯の本数をお伝えするようにしています。

意外なのですが、ご自身の歯が何本あるかを把握されている方は、あまり多くないんですよ。
「たしか、左の奥が2本ないくらいかな」といった感覚の方がほとんどです。

でも、数字にすると受け止め方が変わります。
「今26本ですね」とお伝えすると、多くの方が少し姿勢を正されるんですね。守るものが具体的になるからだと思います。

それから、20本を下回っていても、この先残っている歯を1本でも減らさないことが、そこからの目標になるだけです。
今日が一番若い日です。
失った歯の数より、これから失わない歯の数のほうが、私はずっと大事だと思っています。

20代・30代のうちに歯周病の進行を止められるかどうかが、40年後の本数をかなり決めてしまうからです。遠い話に聞こえるかもしれませんが、いま診ている20代の方の80歳は、確かに来ます。

歯ぐきの状態が気になる方はむし歯・歯周病治療のページもどうぞ。

川越で予防歯科のご相談は

「自分の歯が何本あるか数えたことがない」——それで構いません。見せていただければ、こちらで数えます。

一デンタルパーク

9月からの新しい生活のリズムに、歯科検診も入れてみませんか。


監修者プロフィール
武内 一広(たけうち かずひろ)/歯科医師・一デンタルパーク院長(埼玉県川越市)。むし歯・歯周病治療から予防歯科、小児歯科、口腔外科まで幅広く診療。「何本残っているか」を一緒に見ていく診療を心がけています。

出典

・8020運動とは|e-ヘルスネット(厚生労働省 健康日本21アクション支援システム)
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-01-003.html

・「8020」達成のために必要な予防対策|e-ヘルスネット(厚生労働省 健康日本21アクション支援システム)
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-01-005.html

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。症状については歯科医院でご相談ください。