カズデンタルブログ

シーラントって削るんですか?安全なんですか?|保護者の方からよく聞かれる2つのこと

一デンタルパーク院長の武内です。

新学期が始まりましたね。
夏休みの宿題は、無事に終わりましたでしょうか?

乳歯に対して「シーラント、やったほうがいいですか?」というものになります。

乳歯の歯の溝が深いとき行うことがあります。
ただこの時2つの質問をいただきます。

「それって、歯を削るんですか?」
「何か悪い影響はないんですか?」

今回はこの辺りを丸ごとご回答していきたいと思います。

歯科医院で予防処置を受ける小学生の子どもと歯科医師の様子(シーラントを解説する川越の一デンタルパークのイメージ)

まず、シーラントとは何か

厚生労働省のe-ヘルスネットによると、シーラント奥歯の溝をむし歯から予防する処置方法です。

やっていることは、大きく2つあります。

  • 奥歯の溝を物理的に封鎖する(お口の中の環境から遮断する)
  • 材料に含まれるフッ化物が、再石灰化作用を促進する

材料にはレジンといわれるプラスチック、グラスアイオノマーといわれるセメント、そして最近では両方の性質を併せ持ったものといった種類があります。
歯の状態によって使用する素材を選択します。

以前学校の歯科健診で「要受診」と言われたらでも触れましたが、こどものむし歯の8割以上は奥歯の溝から発生するとされているからです。
さらに下の奥歯の乳歯が特にむし歯になりやすいのでシーラントの活用を考えることが多くなります。

乳歯の溝は深く、曲がりくねっており、歯ブラシの毛先が物理的に届かないことが多いです。
届かない場所に対して、先に埋めてしまってむし歯にならないようにしようという考え方です。

質問①「歯を削るんですか?」

いちばん多い質問です。

削る必要がありません。

シーラントは、溝の上から材料を流し込んで固める処置です。
健康な歯の組織を削って形を変える、いわゆる「虫歯の治療」とはまったく別のものなんですね。

麻酔も使いません。
痛みもありませんし、時間も1本あたり数分です。
お子さんが口を開けていてくれれば、それで終わります。

「予防のために歯を削るなんて」と身構えられる方がいらっしゃるのですが、そこは安心していただいて大丈夫です。

質問②「安全性はどうなんですか?」

シーラントの素材については、体に吸収されるものではありませんので安全だと考えていただいて大丈夫です。

ただ以前はシーラントの危険性について指摘があリマした。

シーラントの危険性に関しては、一部のレジン系シーラント材に含まれるビスフェノールAの環境ホルモン様作用の危険性が1996年に指摘されました。しかし、その後の研究によって、当時危惧されたような危険性は現在では調べうる限りないとされています。

1996年の指摘で、その後の研究で否定されている——という経緯がありました。

歯の治療材料は口腔内に使用する量は非常に微量になります。
そのため体内へ取り込まれる薬剤自体も人体への影響は無いものになります。

効果はどのくらいあるのか

e-ヘルスネットから、シーラントには4年以上で約60%のむし歯予防効果が認められており、特にフッ化物応用との併用によって、むし歯予防効果はさらに増加すると報告されています。

シーラント単独でも効果はありますが、フッ化物と組み合わせるとさらに効果が高まります。

  • フッ化物……歯そのものを強くする
  • シーラント……汚れがたまりやすい溝を守る

役割が違うので、相乗効果が期待されます。
フッ化物については子どもの虫歯予防にフッ素は効果的?でまとめています。

ただし、「入れたら終わり」ではありません

シーラントは永久に保持されるものではありません。
取れたり欠けたりすることがあります
こういったときは、再度塗布することで高い予防効果を維持できます。
自分では気づけない変化に対しても歯科医院での定期的な確認が推奨されます

そして厄介なのは、取れても痛くないということ。
お子さんは気づきませんし、ご家庭でも分かりません。
気づかないまま溝がむき出しになっている、という状態が起こりえます。

すべての歯に対して必要になるわけではありません

むし歯発症リスクの高い歯に行うと特に有効であり、リスクの高い歯に絞ることで高いむし歯予防効果を維持しながら処置歯数を絞り込める、という考え方が示されています。

リスクの判定材料として挙げられているのは、過去のむし歯経験・生活習慣・唾液の性状・口腔細菌の状況、そして歯そのものについては奥歯の溝の形態や萌出状況などです。

つまり、「子どもだから全部の奥歯に」というわけではなく、そのお子さんのその歯に必要かどうかを見て決めるものです。

一デンタルパークではどのようにしているか?

当院では、シーラントをご提案するときに、なぜこの歯なのかを必ずご説明します。

溝が深い歯、生えたてで背が低くて歯ブラシが当たりにくい歯、反対側に虫歯の経験がある歯など理由は歯ごとに違います。
「一応やっておきましょう」ではなく、この歯にはこういう事情がありますとお伝えしています。

それから、お子さん本人にも鏡で見てもらいます。
「ここに溝があるでしょう、ここを埋めるよ」とわかってもらえると大切にしてくれると思っています。

そして定期検診では、シーラントが残っているかを確認します。

お子さんのお口については小児歯科・マタニティ歯科のページ、日ごろの予防については予防歯科のページもご覧ください。

川越で子どもの虫歯予防のご相談は

「うちの子にシーラントは必要でしょうか」——お口を見せていただければ、必要かどうかをお伝えします。必要なければ、そう申し上げます。

一デンタルパーク

新学期の生活リズムが整ってきたころに、いかがでしょうか。


監修者プロフィール
武内 一広(たけうち かずひろ)/歯科医師・一デンタルパーク院長(埼玉県川越市)。むし歯・歯周病治療から予防歯科、小児歯科、口腔外科まで幅広く診療。処置の理由をご本人と保護者の方に説明することを大切にしています。

出典

・シーラント(予防法)|e-ヘルスネット(厚生労働省 健康日本21アクション支援システム)
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-02-011.html

・ライフステージ別にみたむし歯の特徴|e-ヘルスネット(厚生労働省 健康日本21アクション支援システム)
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-02-003.html

・フッ化物利用(概論)|e-ヘルスネット(厚生労働省 健康日本21アクション支援システム)
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-02-006.html

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。症状については歯科医院でご相談ください。