お口にいい環境
「国民皆歯科健診」が導入されます。暮らしはこう変わります。
一デンタルパーク院長の武内です。
今年の「骨太の方針2026」に書かれた国民皆歯科健診について、「みなさんははどうすればいいの?」という目線でお話ししますね。一緒に考えてみましょう。

そもそも何が決まったの?「国民皆歯科健診の具体化」という一文
骨太の方針(正式には「経済財政運営と改革の基本方針2026」)は、国がこの先どこに力を注ぐかを示す設計図のような文書です。
その2026年版の「攻めの予防医療」という項目の中に、こう明記されました。
いわゆる国民皆歯科健診の具体化(歯周病検診の対象拡大や就労世代の歯科健診の更なる充実)
さらに同じ並びで「口腔と全身の健康の関係に基づく歯科疾患対策・口腔健康管理」も掲げられ、その注釈にはオーラルフレイル対策も含まれると書かれています。
ポイントは「具体化」という言葉です。
現段階で「来年から全員義務です」と決まったわけではありません。ただ、これまで検討課題だったものが、国の基本方針の中に位置づけられたのは事実です。今後、対象年齢や実施方法の具体化が進められていく見込みです。
なぜ、歯科健診なの? ― 行政が見ているのは「口の中」ではなく「全身」
「国が歯の健診にそこまで力を入れるの、ちょっと不思議」と言われることがあります。
でも、方針の文言をよく読むと答えが書いてあるんです。「口腔と全身の健康の関係に基づく」。ここがすべてですね。
歯周病は、歯ぐきだけの病気ではありません。歯を支える骨が静かに溶けていく慢性の炎症で、その炎症性物質や細菌が血流に乗って全身に影響しうることが、さまざまな研究で報告されています。糖尿病や心臓・血管の病気、認知症との関連も指摘されているところです。
メタボリックドミノという考え方があります。
大きな疾患(糖尿病や腎不全、脳梗塞など)の前の段階には高血圧や高尿酸血症、高血糖といった期間が存在します。
そしてさらに状態と関連しているのが歯周病と言われています。
このため国は、「歯を守る」ためというより、全身の病気を入口の入り口で食い止めたいと歯科健診を推している。私はそういった考えがあります。
なお今回の方針には、歯科専門職の偏在対策や医科歯科薬の連携など、受け皿となる体制づくりも一緒に書き込まれています。
学校の歯科健診が終わったあとの「空白」に、あなたはいませんか
ここからが本題です。
実は今も、公的な歯科健診の仕組みはあります。健康増進法にもとづく歯周疾患検診で、従来は40歳・50歳・60歳・70歳が対象でしたが、若い世代の歯周病が増えていることを受けて、令和6年度から20歳・30歳が加わりました。
ただ、こうした節目の検診は受診率が低い水準にとどまると報告されています。案内が届いても、10年に1度では忘れてしまうことが多いと思います。
そして学校の歯科健診が終わったあと、仕事を始めることで忙しくなり、痛みもない、だから足が向かない。
気づいたときには歯ぐきが下がっている——当院でも本当によく見る流れです。
今回の方針が「就労世代の歯科健診の更なる充実」とわざわざ書いているのは、まさにこの空白を埋めたいから。今、痛くない30〜50代も早期に手を打っていくために必要となります。
今日からできる3つのこと
制度が固まるのを待つ必要はありません。むしろ、今から始めた人がいちばん得をします。
① すでにある予定に、歯の予定を1つ紐づける
歯科の受診は「思い立った日」ではなく「仕組みにした日」から続くからです。会社の健康診断や誕生月など、毎年必ず来るタイミングに重ねると忘れません。適切な間隔はお口の状態によって人それぞれなので、まずは一度ご相談ください。
② 磨けているかを”歯ブラシ以外”で確かめる
歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れは落としきれません。フロスや歯間ブラシを使ったときに、においや出血があるなら、そこが炎症のサインです。理由はシンプルで、歯周病は歯と歯の間から静かに始まるから。1日1回、寝る前だけでも十分ですよ。
③ 自治体から届く「歯周疾患検診」の封筒を、捨てない
節目の年齢に案内を送っている自治体があります(内容や実施方法は自治体によって異なります)。届いたその日にカレンダーへ入れる。これだけで、受ける確率はぐんと上がります。
一デンタルパークではどのようにしているか?
当院では、「痛くなってから来る場所」ではなく「何ともないときに寄れる場所」になれたらいいなと思って診療しています。
ですから初診の方にも、いきなり治療の話ばかりはしません。まず今のお口の状態を一緒に見て、「ここは大丈夫」「ここは少し先にもう一度見ましょう」と、現在地を共有することを大事にしています。
皆歯科健診が行われることは嬉しい反面、こういった制度がないとお口の管理を行うことができていないということなんだと感じています。それぞれの方のお口の中は異なりますから、治療にせよ、予防にせよ早いに越したことはありません。
「何年も歯医者に行っていなくて、怒られそうで怖い」——そうおっしゃる方、すごく多いんです。大丈夫ですよ。怒りません。来てくださった時点で十分えらいと思っています。
歯ぐきの状態は、良くなるときも検査の数字にちゃんと出ます。それを患者さんと一緒に眺められるのが、この仕事のいちばん楽しいところなんですね。
くわしい流れは予防歯科のページを、すでに気になる症状がある方はむし歯・歯周病治療のページもあわせてご覧ください。
なお、検査や処置の内容によって保険が適用されるもの・自費となるものがあります。ご自身のケースについては、診察のうえ武内ににご相談ください。
川越で歯の健診をお考えの方へ
一デンタルパーク(埼玉県川越市・川越駅からお越しいただけます)では、痛みのない段階でのチェックも歓迎しています。
「制度が本格的に動き出す前に、一度みてもらおうかな」——その気軽さで大丈夫です。
ネット予約:こちらから予約する
お電話:049-257-5979
お口のことで気になる点があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
▶ 関連記事:20代の歯周病が増えている理由/予防歯科の基礎知識まとめ
監修者プロフィール
武内 一広(たけうち かずひろ)/歯科医師・一デンタルパーク院長(埼玉県川越市)。地域のみなさまのお口の健康を、予防の段階から支えることを大切にしています。むし歯・歯周病治療から予防歯科、小児歯科まで、ライフステージに合わせた歯科医療をご提供しています。
出典
・内閣府「経済財政運営と改革の基本方針2026(骨太の方針2026)」
・SillHa「国民皆歯科健診の最新動向|制度の目的・導入背景・今後の課題を総まとめ」
・厚生労働省「歯周病検診マニュアル2023(案)」関連資料







