お口にいい環境
口の中の菌は、ゼロにしなくて大丈夫|「口内フローラ」を整える予防のかたち
一デンタルパーク院長の武内です。
「先生、口の中の菌って、全部やっつけたほうがいいんですよね?」という質問があります。
全ての細菌を強い洗口液を、毎晩ガブガブ使っていますという方がいらっしゃいます。
その気持ち、すごくよく分かります。むし歯も歯周病も細菌が関わる病気ですから、「菌=敵」と思ってしまいますよね。
ですが、全ての細菌が悪いのではなく、全体のバランスが崩れることから悪いものにしてしまうことがあります。
キーワードは「口内フローラ」。お口の中の細菌の“バランス”に注目する考え方です。
川越で長く地域の患者さんを診てきた立場からも、これはとても大事な視点だと感じています。今日は一緒に考えてみましょう。

そもそも「口内フローラ」って何ですか?
腸内フローラという言葉は、聞いたことがある方が多いと思います。
これの口の中バージョンだと思っていただければ大丈夫です。
私たちのお口の中には、数百種類もの細菌がすみついています。
お花畑(フローラ)のように、いろんな種類がびっしり並んでいるイメージですね。
その顔ぶれは、大きく3つに分けられます。
- 善玉菌:お口の環境を安定させてくれる菌
- 悪玉菌:むし歯や歯周病の引き金になりやすい菌
- 日和見菌(ひよりみきん):どっちつかずで、環境しだいで良くも悪くも働く菌
一般に、この比率が「善玉2:日和見7:悪玉1」くらいのバランスで保たれている状態が良いとされています。
ポイントは、悪玉菌がゼロの人はいない、ということ。誰の口の中にもいるんです。問題なのは“いること”ではなく、“バランスが崩れること”なんですね。
「殺菌すればするほど良い」とは限らない理由
ここが今回いちばんお伝えしたいところです。
近年の口腔細菌の研究では、むし歯や歯周病は「特定の悪い菌が1匹いるから起きる」というより、細菌のバランスが崩れた結果として起きると考えられるようになってきました。
つまり、力ずくで菌を減らすことだけを目指すと、こんなことが起こりえます。
- お口を守ってくれる菌まで一緒に減ってしまう:庭の雑草を抜こうとして、除草剤を全体にまいたら花まで枯れてしまった、という感じです。空いたスペースに、あとから増えやすい菌が入り込むこともあります。
- 粘膜が刺激を受けて乾きやすくなる:アルコール度数の高い洗口液を1日に何度も使うと、お口の中がヒリヒリしたり、乾燥感が出たりする方がいます。乾いた口は、実は細菌が増えやすい環境なんです。
- 肝心の「歯垢を落とす」ことがおろそかになる:これが一番多いパターンかもしれません。洗口液でうがいをして「よし、キレイになった」と安心してしまう。でも、洗口液は歯にこびりついたバイオフィルム(細菌のかたまり)の中までは届きにくいんですよ。
洗口液が悪いと言っているのではありません。うがいは「仕上げ」であって「主役」ではない、ということです。主役はやっぱり、歯ブラシと歯間清掃です。
口内フローラを乱してしまう、日常の隠れたクセ
だらだら食べ・だらだら飲み
お菓子や甘い飲み物を少しずつ長時間とっていると、お口の中が酸性に傾いた時間が長くなります。この環境は、酸に強いタイプの菌が元気になりやすい。回数を区切るだけで、ずいぶん変わりますよ。
口呼吸・お口の乾燥
唾液には、細菌を洗い流したり、酸を中和したりする働きがあります。夏場のこの時期は特に、水分不足やエアコンで口が乾きやすい。乾く=守りが弱くなる、と覚えておいてください。
歯間のケアをしていない
歯と歯の間は、歯ブラシの毛先が届きにくい“細菌の隠れ家”です。ここを何年も放置していると、いくら表面をゴシゴシ磨いても、バランスは整いにくいんですね。
ちなみに、ゴシゴシ強く磨くのは逆効果です。歯ぐきが下がったり、歯の表面がすり減ったりして、かえってトラブルのもとになります。
今日からできる、口内フローラを整える5つの習慣
むずかしいことは必要ありません。地味なことの積み重ねが、いちばん効きます。
- 歯ブラシは「軽い力で・小刻みに」:毛先が広がらない程度の力で、歯と歯ぐきの境目に毛先をあてて細かく動かす。理由は、汚れは“こする力”ではなく“毛先が当たっているか”で落ちるからです。
- 1日1回、歯間ブラシかフロスを:全部の歯間をやろうと思うと続きません。まずは「奥歯だけ」でもOK。理由は、汚れがたまりやすく、歯周病が始まりやすいのが奥歯だからです。
- 食べる回数を決める:間食は1〜2回にまとめる。理由は、お口が酸性になっている“時間の長さ”がリスクを左右するからです。
- こまめに水を飲む:甘くない水やお茶で、お口の中をリセット。唾液の量を保つことが、いちばん自然な口内フローラ対策です。
- フッ化物入りの歯みがき剤を、すすぎすぎない:磨いたあと、少量の水で1回さっとすすぐ程度に。理由は、フッ化物がお口に残ることで歯の再石灰化(歯の修復)を助けてくれるからです。
もう少し体系的に予防を考えたい方は、予防歯科のページもあわせてご覧いただくと分かりやすいと思います。
すでに歯ぐきの腫れや出血が気になっている方は、セルフケアだけで整えるのは正直むずかしいことが多いです。その場合はむし歯・歯周病治療のページもご参考にしてください。
一デンタルパークではどのようにしているか?
当院では、「まず菌をやっつける」ではなく、「その方のお口が、どうしてバランスを崩しやすいのか」を一緒に探すところから始めています。
同じように歯みがきをしていても、歯ならびが複雑な方、唾液が少なめの方、間食が多い方では、必要な対策がぜんぜん違うんですね。だから、一律のアドバイスはあまり意味がないと思っています。
歯科衛生士による専門的なクリーニングでは、歯ブラシでは落としきれないバイオフィルムを機械的に取り除きます。これは薬でうがいをするのとは別物で、「隠れ家をいったんリセットする」イメージです。リセットしたあと、良い状態をどう保つかが本番ですね。
それから、患者さんによく言うのは「完璧を目指さなくて大丈夫ですよ」ということ。100点を10日続けるより、70点を毎日続けるほうが、結果としてお口は安定します。
大丈夫です、いまからでも十分間に合いますよ。一緒にゆっくり整えていきましょう。
気になる方は、川越の一デンタルパークへご相談ください
「洗口液を使っているのに、口臭や歯ぐきの出血が気になる」
「歯みがきの仕方が、これで合っているのか自信がない」
そんな方は、一度プロの目でお口の中を見てもらうのがおすすめです。ご自身の口内フローラがどんな状態かは、鏡だけでは分かりませんからね。
川越駅からお越しいただける一デンタルパークでは、むし歯・歯周病の検査から、お一人おひとりに合わせた予防のご提案までおこなっています。
医院名:一デンタルパーク(埼玉県川越市/川越駅)
お電話:049-257-5979
ネット予約:こちらから予約する
ご予約はお電話でも、24時間受付のネット予約でもお受けしています。お気軽にどうぞ。
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監修者プロフィール
武内 一広(たけうち かずひろ)/歯科医師・一デンタルパーク院長(埼玉県川越市・川越駅)。地域のかかりつけ歯科医として、むし歯・歯周病治療から予防歯科、小児歯科まで幅広く診療。「削らずに済むお口を、一緒に育てる」ことを大切にしています。







