カズデンタルブログ

「1本くらいなら大丈夫」はほんと??|歯を失うと全身のリスクが上がる

「先生、奥歯が1本抜けちゃったんですけど、まだ他の歯で噛めてるんですよ。1本くらいなら、大丈夫じゃないの?」

お気持ちはとてもよく分かるのですが、歯を失うことでお口の中だけでなく、体への影響があるという内容です。
今日はその話を、一緒に考えてみましょう。

歯を失うリスクと心臓・血管の関係を解説する、川越の一デンタルパークの明るく清潔な診療室のイメージ

東北大学の新しい研究|「1〜4本」でリスクの上がり方が大きかった

調べたのは、「歯を何本失っているか」と「その後の循環器疾患(心臓や血管の病気)の起こりやすさ」の関係の研究があります。

結果は、失った歯が多い人ほど循環器疾患のリスクが高い傾向にあり、しかも興味深いのは、喪失が1〜4本という”ごく初期”の段階で、リスクの上がり方がいちばん大きかったと報告されている点です。

つまり、「10本失った人が危ない」という話ではなく、「1本目を失ったところ」がすでに一つの分かれ道になっている可能性があるということなんですね。

ここは慎重にお伝えしますが、この研究は「歯を失うと必ず心臓の病気になる」と示したものではありません。あくまで大勢のデータから見えた関連性です。それでも、診療室にいる私にはとても実感に近い結果でした。

なぜ、歯の数と心臓・血管がつながるの?

「歯と心臓なんて、離れすぎでしょ?」と思いますよね。でも、つながる道筋はいくつか考えられています。

① 歯を失う原因そのものが、体に炎症を起こしている

大人が歯を失う原因の多くは、歯周病と大きなむし歯です。歯周病は、歯を支える骨が静かに溶けていく慢性の炎症。その炎症性の物質や細菌が血流に乗り、血管の状態に影響しうることが多くの研究で報告されています。

だから「失った歯の数」は、これまでどれだけ炎症と付き合ってきたか後遺症が残るようなものです。歯ぐきの炎症が気になる方は、むし歯・歯周病治療のページもあわせてご覧ください。

② 噛めなくなると、食べるものが変わる

歯が減ると、無意識に「やわらかいもの」「噛まずに飲み込めるもの」を選ぶようになります。野菜や肉、繊維のあるものが減り、糖質に寄っていく。これが長い年月続けば、血圧や血糖に影響しても不思議ではありませんよね。

③ 抜けたままの隣の歯に、負担が集中する

1本抜けた場所は、放っておくと隣の歯が傾き、噛み合う相手の歯が伸びてきます。1本の欠損が2本目、3本目を呼ぶのは、診療室で本当によく見る流れです。

「まだ1本だけ」の今こそ、いちばん効く時期です

私が今回の研究でいちばん伝えたいのは、ここです。

歯を失うのは、坂道を転がるような進み方をします。最初の1本を放置した方と、そこで手を打った方では、10年後の口の中の未来は全く変わってしまいます。

そして、失った歯の代わりを考える方法は、ブリッジ・入れ歯・インプラントなど複数あります。
どのように治療を行うかこれはあなたの未来にとってとても大きな選択になると思います。

今日からできる3つのこと

この3つを意識して欲しいです。簡単に始められることからやってみましょう!

1. 抜けたまま・放置中の場所がどこか確認する

まず現状把握です。奥歯は自分で気づきにくいので、鏡でいちばん奥まで見てみましょう。
空いている場所があるなら、それは”様子見”の対象ではなく”相談”の対象ですよ。

2. 夜の歯みがきに、歯と歯の間のケアを1分足す

歯を失う最大の原因である歯周病は、歯と歯の間から進みます。フロスや歯間ブラシは、歯ブラシが物理的に届かない面をお掃除する道具。ゴシゴシ強く磨くのは逆効果で、歯ぐきを下げてしまいます。ゴシゴシの力より、届く場所を増やすことが大事なんですね。

3. 「痛くないうちに」歯科医院の予約を入れる

歯周病は痛みが出にくいまま進みます。そのため痛くなってから来ると、治療の選択肢は少なくなってしまいます。
このことから定期的なチェックがいちばん効果的な対策になります。

一デンタルパークではどのようにしているか?

当院では、歯が1本抜けた状態でお越しになった方に、いきなり「では治療しましょう」とはお話ししません。

まず、なぜその歯を失うことになったのかを一緒に確認します。
歯ぐきの状態、噛む力のかかり方、毎日のケアの癖。原因が残ったままだと、同じことがまた起こってしまいますからね。

そのうえで、「今すぐ手を入れた方がいい場所」と「しばらく見守れる場所」を分けてお伝えするようにしています。全部を急ぐ必要はないことも多いんです。

そして、糖尿病や高血圧などで通院中の方には、その情報もぜひ教えてください。お口の炎症を抑えることは、全身の管理とけっして無関係ではないと考えています。

「もう何年も歯医者に行っていなくて、怒られそうで気が重い」とおっしゃる方もいますが、大丈夫ですよ。責める場所ではありません。今日の状態からスタートすれば、それでいいんです。

川越で歯のご相談は、一デンタルパークへ

「1本くらいなら」と思っていた歯が気になった方、しばらく検診に行けていない方。この夏のうちに一度、お口の状態を確認してみませんか。

一デンタルパーク
所在地:埼玉県川越市(川越駅が最寄りです)
お電話:049-257-5979
ネット予約:こちらから予約する

ご予約はネットからも24時間承っています。お待ちしていますね。

▶ 関連記事:歯周病を治すと透析リスクが下がる?糖尿病とお口の関係歯周病とは?基礎知識まとめ


監修者プロフィール
武内 一広(たけうち かずひろ)/歯科医師・一デンタルパーク院長(埼玉県川越市)。むし歯・歯周病治療から予防歯科、小児歯科、口腔外科まで幅広く診療にあたる。「痛くなってから」ではなく「痛くなる前」に通える歯科医院づくりを大切にし、患者さん一人ひとりのペースに合わせた説明を心がけています。