カズデンタルブログ

骨粗しょう症のお薬、歯医者さんに伝えていますか?|あごの骨を守るためにできること

一デンタルパーク院長の武内です。

9月も残りわずかになりました。

いかがお過ごしですか?

朝晩と日中の気温差が大きくなってきましたので、どうぞ体調にはお気をつけください。

 

初めて来院された方の問診票で、「服用中のお薬」の欄が空欄になっていることがあります。

診療を始めていくといくと、「そういえば、整形外科で骨の薬をもらっています」と教えていただくことがあります。

最近ようやく骨の薬について知られるようになってきました。

骨粗しょう症のお薬の中には、歯科治療の前に必ず知っておきたいものがあります。

ご自分やご家族にも関わってくる、大切な内容です。

今日は、骨粗しょう症のお薬と歯科のかかわりをお伝えします。

歯科医院の受付カウンターでお薬手帳を差し出す年配の方の手元(骨粗しょう症のお薬と歯科治療について解説する川越の一デンタルパークのイメージ)

骨粗しょう症は身近な病気です

骨粗しょう症は、骨がつくられるよりも壊されるほうが上回る状態が続き、骨がもろくなる病気です。

日本歯科医師会の資料によると、日本では1,300万人を超える方が骨粗しょう症にかかっていると言われています。

治療には、骨密度を下げないようにいくつかの種類のお薬が使われます。

ビタミン剤やカルシウム剤、女性ホルモン剤などもそのひとつです。

注意が必要なのは一部の「骨を強くするお薬」です

日本歯科医師会の資料では、あごの骨の病気を引き起こす可能性があるお薬として、次の3つが挙げられています。

① ビスフォスフォネート製剤(飲み薬・注射・点滴があります)

② 抗RANKL抗体薬(注射のお薬です)

③ 抗スクレロスチン抗体薬(注射のお薬です)

これらのお薬は、骨粗しょう症だけでなく、がんの骨転移などの治療にも使われています。

お体にとっては非常に有益で、骨折を防ぐことはとても大切です。

ただ、副作用として「顎骨壊死(がっこつえし)」が起こることがあります。

顎骨壊死ってどんな病気?

顎骨壊死は、あごの骨の一部が死んでしまい、お口の中に骨が出てくる病気です。

日本口腔外科学会では、次のような症状が紹介されています。

① 痛みを伴って、骨が見えたままの状態が続く

② あごが重い感じや、しびれた感じがある

③ 歯ぐきが腫れる、膿(うみ)が出る

④ 歯がぐらぐらする

痛みがなく、症状が出ないこともあるとされています。

進行すると、痛みや感染が強くなることがあります。

一度起こると治療に苦労することが多いため、起こさないように予防することがとても重要です。

きっかけになりやすいのは、お口の中の細菌です

日本歯科医師会の資料には、これらのお薬を使っている方が、むし歯や歯周病などによる感染を持っていると顎骨壊死が発生することが分かってきたと書かれています。

以前は、抜歯が大きなきっかけとして注目されていました。

ですが、日本口腔外科学会など6つの学会でまとめた「顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2023」では、見方が少し変わっています。

抜歯が必要になるほどの重い歯周病や、歯の根の先の病気は、すでにあごの骨に細菌の感染が広がっていることが多いそうです。

そのため、口腔衛生状態の不良や歯周病などは、顎骨壊死の明確なリスク因子と示されています。

つまり、日ごろからお口の中を清潔に保つことが、あごの骨を守ることにつながります。

歯周病の基本については歯周病とは?原因・症状・予防・治療の基礎知識でまとめています。

お薬手帳を見せてほしい理由は3つあります

日本歯科医師会の資料では、歯科治療のときの注意点として、必ずお薬手帳を持参することが挙げられています。

理由は次の3つです。

① 骨粗しょう症のお薬の中には、顎骨壊死に影響しないものもあり、ご自分で判断するのは危険だから

② お薬手帳に書かれない注射もあるから

③ 糖尿病や喫煙、飲酒、がんの治療などがあると、顎骨壊死の危険が高まるから

注射を受けている方は、お薬手帳とあわせて、そのことを歯科医師に伝えてください。

お薬を自分の判断でやめるのはやめましょう

「歯の治療をするなら、骨の薬はやめたほうがいいの?」

こんなご質問をいただくこともありますが、休薬や再開は私たち歯科医師と担当の医師と相談して決めるので、自己判断で休薬・中止をしないでくださいとあります。

そのうえで、原則として抜歯のときにお薬を休薬しないことを提案するという見解が示されています。

お薬を急にやめると、骨折を防ぐ効果が失われてしまうことがあります。

大切なのは、お薬をやめることではなく、主治医の先生と歯科医師が情報を共有することです。

お薬を始める前に、歯科を受診しておきましょう

これから骨を強くするお薬を始める予定の方もいらっしゃると思います。

ポジションペーパー2023では、ビスフォスフォネート製剤や抗RANKL抗体薬を始めるときの歯科への紹介は極めて重要で、強く推奨されるとされています。

始める前にお口の中を整えておけば、治療中のトラブルを減らせることがあります。

すでにお薬を使っている方も、定期的な歯科のチェックが大切です。

日本歯科医師会の資料によると、入れ歯などで歯ぐきに傷ができたところから顎骨壊死が起こることもあるそうです。

入れ歯が当たって痛いときは、そのままにせずご相談ください。

入れ歯の日ごろのお手入れは入れ歯のお手入れは「ぬめり」が目安!でご紹介しています。

歯科医院でのクリーニングの内容は歯のクリーニングというけど何をしているか知っていますかをご覧ください。

一デンタルパークではどのようにしているか?

当院では、初診のときや定期検診のときに、骨粗しょう症のお薬や注射を使っていませんか?とお聞きすることがあります。

お薬手帳をお持ちいただければ一緒に確認し、必要に応じて主治医の先生とも相談しながら治療を進めていきますので、安心してお話しくださいね。

抜歯などお口の外科的な処置については、親知らず・抜歯・お口のケガ|「口腔外科」ってどんなときに頼るの?や口腔外科のページもご覧ください。

川越で骨粗しょう症のお薬と歯科治療のご相談は

「自分の飲んでいるお薬が当てはまるのか分からない」という方も、どうぞお気軽にご相談ください。

お薬手帳をお持ちいただければ、一緒に確認します。

一デンタルパーク

・所在地:埼玉県川越市(川越駅が最寄りです)

・お電話:049-257-5979

・ネット予約:https://www.genifix.jp/kazu-dentalpark-caa/p/login/

次の歯科受診のときは、お薬手帳をかばんに入れてお越しいただけますか?


監修者プロフィール

武内 一広(たけうち かずひろ)/歯科医師・一デンタルパーク院長(埼玉県川越市)。むし歯・歯周病治療から予防歯科、小児歯科、口腔外科まで幅広く診療。全身の病気やお薬の状況もふまえて、安心して治療を受けていただける形を一緒に考えています。

出典

・歯医者さんに伝えていただきたい病気と薬(骨粗鬆症)|テーマパーク8020(公益社団法人 日本歯科医師会)
https://www.jda.or.jp/park/relation/medicine_disease.html

・がん治療と口のケア(骨を強くする薬による口の副作用)|テーマパーク8020(公益社団法人 日本歯科医師会)
https://www.jda.or.jp/park/relation/cancerandmousecare.html

・炎症(ビスフォスフォネート関連顎骨壊死)|口腔外科相談室(公益社団法人 日本口腔外科学会)
https://www.jsoms.or.jp/public/disease/setumei_ensyo/

・薬剤関連顎骨壊死の病態と管理:顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2023|公益社団法人 日本口腔外科学会
https://www.jsoms.or.jp/medical/pdf/work/guideline_202307.pdf

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。お薬の変更や中止は、必ず処方した医師にご相談ください。